Life in Tokyo: いのちの食べかた Life in Tokyo

Life in Tokyo

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2007-11-10

いのちの食べかた

いのちの食べかた、公開初日に見に行ってきました。会場は満員、通路にも人が溢れてました。
映画は前編ナレーションなし、90分間、ひたすら農作業現場と牛・豚・鶏・魚などの飼育所と屠蓄、解体の様子。
普段私たちが口にしている牛肉も豚肉も鶏肉もあんな風に育てられて解体されているのかー。いのちある動物をいただくためには、どこかで屠蓄しなければならずそういう場所があるのは知ってたけど、実際の作業方法は驚き(衝撃)の連続だった。なにがすごいってすごい効率化されてて全てが機械的なのです。
牛の解体シーンなんてベルトコンベア-の上に乗せられて、電気ショックで気絶している間に血を抜かれ、内臓を取られて皮をそがれて真っ二つに解体されていく…そこには人力もあるんだけどほとんどがそれ専用の機械なのです。その仕事に携わっている人に関しては、その人たちがいなければお肉も食べられないわけだから感謝しなければならないと思います。大変な仕事なのに、彼らがランチタイムにサンドイッチなどを静かに食べているシーンはものすごく考えさせられるものがありました。
機械化だって、ぎゅうぎゅうの牛舎やケージだって生産者側からすればコスト削減とか効率性アップとか言う必要性もあってのことなんだろうな。でも、こういう食の仕組みとか、品種改良とかもそうだけど、極限までの低コストを追求する社会の仕組みを作った人間達はやっぱり身勝手だなあと思います。

野菜に関しても、まあこうも自動化・効率化を見せられるとちょっと考えちゃった。

わたしという存在はわたしが食べる物で生かされている。私の細胞となり血液となり私自身を形成しているものは全て口にした動植物。だから、食べるものにはなるべく気をつけたいし、食卓にあがるものに対しては感謝の気持ちを忘れないでおこうと思います。でも今話題になってる表示偽装とかがあったら元も子もないんだけどね。やっぱり週末農業するしかないかなー!

これから更に食べ物に対する感謝の気持ちが強くなる気がします。世界には飢えている人がたくさんいるのに私たちは本当に幸せだと再実感しました。

そういえば、「フェルメールの絵画を思わせる美しさ」ってチラシに書いてあったけど、私の薄っぺらな芸術的視覚からはフェルメールは感じなかった。でも淡々と映像だけが流れて、ひよこを分別したり、魚を解体したり豚の尻尾を切ったりするシーンはせりふ(ナレーション)がない分、無感情でしかも機械や人の分担がすごすぎて、真面目なんだけど究極、シュールで滑稽でさえありました。フェルメールに繋がるかは置いておいても一見の価値のある映画だと思います。

いのちの食べかた(原題 Our daily bread)
http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/

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